


巻頭言
2025年は、全世界のカトリック教会で、「聖年」を過ごす年となっていて、「希望の巡礼者」となっています。4月に亡くなられたフランシスコ教皇は、「聖年」の勅書タイトルに「希望は欺かない」を掲げ、希望の実現には忍耐とゆるしが不可欠であることを、信仰の歩み、愛のわざ、辛抱強く希望し続ける(一テサロニケ1・3参照)プロセスへの丁寧な関りを実現するために歩む「巡礼者」としてのキリスト者を求めています。
菊名教会では聖年の行事として、5月末、御殿場まで神山復生病院への巡礼を行いました。降りしきる雨の中、聖堂でミサを行い、記念館で資料を見て、中島昭子先生の講話を聴きました。復生病院の創立者であるテストヴィド神父様は、御殿場の或る水車小屋でハンセン病の若い女性に出会い、「私の使命は、この人たち(ハンセン病患者)を救うことだ」と決意して、当時(明治時代最初)鉄道も道路もできていないところを歩いて(なんと岐阜まで)ハンセン病患者を探し出して、寄付をカトリックだけでなく、プロテスタントからもお寺からも募り、病院を建てました。また一方、ハンセン病が誤診とわかり、東京に戻り、看護師になって神山に戻り、生涯在院者へ尽力された井深八重さんの写真を見たときは強く心打たれました。
記念館を出ると雨が上がり、大きな富士山を眺めながら、テストヴィド神父様、井深八重さん、そして約630人の患者たちのお墓参りを致しました。当時、神山に送られたハンセン病患者はまだ恵まれた方で、国立の療養所へ送られた患者はほとんど獣扱いだったと聞き、カトリックの愛の証しを目の当たりにすることができました。