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巻頭言

 新しい年が明けました。月日の経つのは早いもので、コロナ禍になって、すでに二年ほどの日々が過ぎようとしています。街中では、マスクやフェイスシールド、アクリル板の設置など、いたるところで人と人の間に壁を作る行為が当たり前のようになってしまいました。

 ところで、今からおよそ2,000年前に生まれたイエス・キリストですが、聖書の中にある通り、その生涯は決して平たんなものではありませんでした。はじめ、貧困や圧政に苦しんでいた人々の多くは、イエスを地上的な解放者として崇め、熱狂的に支持していました。しかし、彼らの期待がかなわないと知ると、次第にイエスから離れて行きます。また、当時のユダヤ教の形骸化の原因となっていた律法学者たちは、イエスの厳しい批判を恨み、民衆の不満分子をあおって、イエスの殺害を企てたのでした。当時、キリストの死を望んだ人々の心の中には、おそらく、自分とは異なるもの、また大いなるものへの恐れという感情が潜んでいたのではないでしょうか? 同じように、人が壁を作るという行為の底には、未知なもの、自分とは異質なものへの恐れから逃れたいという心理が働いているのだと思います。

 以前、ある本の中で、愛の反対語は恐れであるという文章を目にしたことがあります。もし、そうだとすれば、わが身を守るため壁を作るという行為は、実は愛からはどんどん遠ざかる行為なのだということになります。しかし、わたしたちキリスト者は、神の存在そのものが愛なのだと言うことを知っています。神から、救い主イエス・キリストという大きな贈り物をいただいたわたしたち。コロナ禍の今だからこそ、せめて心の中くらいはあらゆる壁を取り除き、愛に向かって進む一年でありたいと思います。