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巻頭言

 5月は聖母の月。そのように習慣づけられたのは18世紀のことと言われています。ご復活の喜びの季節であり、新緑の美しい風薫る時期に、聖母マリアに捧げられることになったのは、自然なことのように思います。

 ユダの木の花が満開の季節に、ポルトガルの小さな町、ファテイマを訪れました。1917年5月13日、寒村の小さな羊飼いの3人の子どもたちに現れた聖母は、「傲慢や現世的な罪から回心するように。」、1917年7月13日には「この戦争(第一次世界大戦)はすぐに終わります。」、そして第3の預言は1981年5月13日の教皇暗殺未遂事件でした。ヨハネ・パウロ2世がバチカンの石を持ってファテイマへお礼参りされました。聖母はロシアの回心を求め、世界平和を促していました。1858年2月11日にピレネー山脈のフランスの小さな村ルルドでベルナデッタに現れた聖母のことを思うとこのファテイマでの出来事は、最近のように感じます。ファテイマでも、ルルドでも実感したことは、同じ祈りが世界のほぼ真反対の極東の日本にも伝えられ、今もなおその想いが続いているということです。

 聖母マリアは、天使がマリアに告げた「主があなたと共におられます。」(ルカ1:28)という神秘を、だれよりも深く受け取って生きた方です。共にいて下さる主と共に生きる者になることを受け取って生きた方です。日常の様々な不安、戦争が終結しない悲しい現実。私たちもこの聖母月に、一人でも多くの人に、一つでも多くの祈りが捧げることができますように、心に留めたく思います。