トップページ 巻頭言 立冬が過ぎて、山茶花が咲き、急に冷え込むようになりました。今年の待降節は12月3日から始まります。クリスマス・カードを買うのも一つの楽しみと言えましょう。街中では、10月からクリスマス・ツリーを飾るデパートもありました。今の日本は、こんなに早くからクリスマス頼みの景気なのかと思うと優雅な気持ちになりますが、現在戦争に巻き込まれている人々がいると思うと、それどころではありません。ディケンズの『クリスマス・キャロル』に出て来る亡霊達に、人々を苦しめる独裁者に現れ、自分のしていることの愚かさに気づかせてくださいと、できることならお願いしたい。 自分は何をすべきなのか、を考えましょう。三人の「タラントのたとえ」の中で、「僕たちの主人が帰って来て、彼らと精算を始めた」(マタイ25・19)と、あります。1タラントを主人から預かった僕が、恐れて地中に埋めて主人の帰りを待っていたところ、「怠け者!」と叱られ、取り上げられて、5タラントを倍にした僕に与えられた話。1タラントが今の日本の7千万円に相当することを思うと、恐れるどころか、主人から預かった物の運用を真剣に考えるべきだったと気づかされます。 タラントは英語のtalent(才能)ではありません。神に生かされていることに感謝しながら、「生きているって何だろう?」と真剣に考え、感謝と喜びをもって、生きる恵みに感謝する。ささやかな好意、愛の積み重ねが、人生の実りをもたらしていく。このたとえの中で、莫大な金額が暗示する人生の重さを考えるとき、『クリスマス・キャロル』もこのことを教えています。