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巻頭言

“Surrexit pastor bonus” 「良い羊飼いが復活された」

 メンデルスゾーン作曲『3つのモテット(1830年)』の第3曲。埋葬後、キリストの遺体の置かれていた場所にいる、白い衣をまとったふたりの天使に、マグダラのマリアが言う。「だれかがわたしの主を取り去りました」。後ろを振り向くと、そこにはキリストが立っておられたが、気がつかずに、「あなたが、もしあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか、教えてください。私が引き取ります。」と、ソプラノが美しく悲痛な声で歌います。

 ヨハネによる福音書20章13・15節を引用して構成されています。7歳の時に、ユダヤ教からキリスト教(ルター派)に改宗していたメンデルスゾーンは、21歳でイタリア旅行をしてして、ローマでのカーニヴァルのばか騒ぎにはかなり驚いたようです。スペイン広場の階段上にあるトリニタ・デイ・モンティ女子修道院(聖心会)ミサに参加して、修道女たちの姿が見えないけれど、格子から聴こえて来る修道女たちの声から、「美しく、柔らかで、もののあわれを」感じて、この修道院のために作曲しました(吉浦盛純・「ローマ歴史散歩」より)。

このモテットは、「わたしの希望、キリストは復活し、ガリラヤに行き、待っておられる。アレルヤ!」(マルコによる福音書16章7節)で結ばれます。十字架で亡くなったイエスが、確かに私たちの間で生きていると感じるのです。大切な人がこの世を過ぎ去っても、その人が私たちに注いでくれた愛は、私たちの心の中で生き続けてます。この世を去った人が生きている場所が天国なら、篆刻は会いに行けないほどに遠い場所ではありません。天国は私たちの心の中にあるのです。皆さまの上に神様の祝福がありますように。 *「復活の続唱」より